2021.10.18 Mon
遺言は絶対?兄弟間に起こり得る相続トラブル
こんにちは。不動産相続アドバイザーの尾嵜豪です。
相続が開始したとき、死亡した人の子どもたちが遺産を巡って争うというのはよくあるトラブルの一つです。
今回は兄弟間で実際に起こり得る、不動産をめぐる相続トラブルについてご紹介します。
1.遺言書で相続放棄を言い渡される?
お母様を亡くしたSさんは、遺産相続でお困りになって相談にいらっしゃいました。
Sさんは父、母、兄の4人家族で、数年前にSさんの父親は亡くなっています。
Sさんの母親が亡くなったことで、Sさんとその兄であるTさんとで遺産を相続することとなりました。
Sさんは実家から飛行機の距離の場所に住んでおり、母親が病気になってからの通院や介護など、兄夫婦に任せっきりでした。
葬儀を終えてから遺産整理をしていると、長年にわたる介護で預貯金などはほとんど使いきり、相続できるのは少額の保険金と持ち家のみとなっていることが分かったのです。
遺産分割協議を始めるにあたり、兄のTさんは母親の遺言書を取り出しました。
内容は「介護をしてくれた兄Tにすべての財産を譲る」と言うもので、TさんはSさんに相続放棄を迫ってきたのです。
Sさんは兄夫婦の貢献は認めつつも、親からの財産をあてにしていたところがあり、どうしたものかと困ってしまいました。
2.遺言の有効性と遺留分
このような場合、まずは遺言書が有効に成立しているかを確認することが大切です。
公正証書でない遺言書の場合、
・遺言書の本文が自筆されているか
・日付、署名、押印がされているか
などを確認する必要があります。
遺言書が有効でなければ、法定相続分(1/2)で分けることになります。
ただし、「寄与分」と呼ばれる介護などの貢献度が相続分にプラスできる制度もあり、遺言が有効でなくともSさんの取り分が少なくなる場合があります。
遺言が有効であった場合でも、相続放棄せずにすむ方法があります。
被相続人の子どもであるSさんには「遺留分」を主張する権利があり、最低限の相続分(1/4)を主張できます。
結果として、遺言の有効性にかかわらず、Sさんは遺産をもらえると言えます。
3. Aさんが遺産をもらうには?
現実的に遺産を分ける方法を考えると、遺産は少額の保険金と持ち家しかなく、そのままでは現金で平等に分けることは難しいでしょう。
この場合、持ち家を売却して現金を作ったのち、兄弟で分割することが現実的な解決策となります。
持ち家の査定価格と保険金を比較し、保険金をSさん、持ち家をTさんとする分け方で問題ないのであれば、それでも良いでしょう。
いずれにせよ、Sさんにも相続する権利があることを双方が理解し、納得した上で分割を進めることが大切です。
まとめ
遺産分割でもめやすいのが、少額であったり不動産のみであったりと相続人で分けにくいケースです。
また、遺言の有効性・相続分・寄与分など確認すべき項目が多い上に期限もあり、冷静かつスピーディーに進める必要があります。
このような場合の不動産査定やスピーディな売却は、不動産相続に長けた専門家にゆだねることが大切です。
是非不動産相続ならウィンドゲートにご相談ください。