2021.9.6 Mon
換価分割とは?賃貸アパートを換価分割するメリット・デメリット
被相続人(=亡くなった方)がアパート経営をしていた場合、その権利はどう相続されるのでしょうか。
現金のみの相続と違って、賃貸アパートの相続を複数人で分けるのは複雑になりがちです。
今回は遺産分割方法の一つである「代償分割」とは何か、そのメリットとデメリットについて紹介します。
1. 換価分割とは?
換価分割とは、遺産をすべて現金に換えて分割する方法です。
現物分割しようにも不動産しかない場合や、代償分割のための資金が足りない場合、換価分割という選択肢がとられることが多いです。
賃貸アパートのみの遺産を兄弟3人で分けるとき、お金を出さずに他の方法で平等に分けることはほぼ不可能です。
共有分割も可能ですが、不動産を共有すると後々トラブルになることが多いです。
換価分割であれば、賃貸アパートの所有権を売却(オーナーチェンジ)し、売却価格から税金や手数料を引いた額を3等分すれば、平等に相続できます。
不動産の売却が上手く進んで現金化できれば、その後は分けるだけなので、公平性の高い分割方法だと言えるでしょう。
2. 換価分割のメリット
換価分割のメリットは、遺産がどんな形でも現金化してしまえば公平に分けられる点です。
賃貸アパートしか遺産がなく、兄弟で平等に遺産分割をしたい場合、現物分割はまず難しいでしょう。
代償分割も、賃貸アパートの資産価値は土地・建物の価値だけでははかれず、規模が大きいと代償金も高くなります。
例えば一億の価値があるアパートを3人で分けたい場合、代償分割しようとすると一人が6千万以上自腹を切ることになり、現実的ではありません。
換価分割ならすべてを現金に換えてから平等に分けるため、誰か一人が大きな得や損をすることなく分割できます。
以下のような例が換価分割に向いていると言えるでしょう。
・遺産のほとんどが賃貸アパートで相続人が複数人
・なるべく平等に分けたい
・誰も賃貸アパートの管理ができない
3. 換価分割のデメリット
換価分割で起こりやすいトラブルは税金関係の問題です。
換価分割をする前に、相続税・譲渡所得税・贈与税についてある程度知識をつけましょう。
まず、換価分割で売却した不動産には譲渡所得税がかかります。
不動産を相続から3年以内に売って発生した譲渡所得税は、相続税を払っていれば軽減されるので、税理士等に相談しましょう。
また、贈与税についても注意が必要です。
相続は期限があるため、換価分割する場合でも一旦は不動産のまま相続し、相続後に売却して分割することがあります。
不動産を一人が相続し、その後兄弟に分けた場合、遺産分割協議書に「換価分割する」と明記しておかないと、遺産分割ではなく贈与とみなされ、贈与税が発生してしまう場合があります。
遺産分割協議書に書いてあれば贈与税が発生することはないため、必ずその旨を書いておきましょう。
また、換価分割では不動産を手放すことになります。
賃貸アパートで出る収益や、思い入れのある土地をすべて失うことになるため、抵抗がある場合は他の方法を探すのも手です。
最後のデメリットとして、不動産の売却には時間がかかることが多く、現金を手にするのが数年先でもおかしくありません。
相続税の支払いは10カ月以内のため、相続税の支払いが先に来てしまうこともあります。今すぐまとまったお金が欲しい方は注意してください。
まとめ
換価分割は相続人にとって非常に公平な相続方法ですが、手続きの煩雑さや時間がかかるのがデメリットです。
また、賃貸アパートにおいては不動産だけでなく、その後の収益も手放すことを忘れてはいけません。
とはいえ、もめやすい兄弟での不動産相続において、すべて換金して平等に分けられるため、現物分割、代償分割が難しい場合に選ばれることの多い方法です。
不動産の相続はケースによって対処法が全く異なります。
不安な方は、初回無料で相談を承っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。