2021.9.2 Thu
現物分割って何?賃貸アパートを現物分割するメリット・デメリット
被相続人(=亡くなった方)がアパート経営をしていた場合、その権利はどう相続されるのでしょうか。
現金のみの相続と違って、賃貸アパートの相続を複数人で分けるのは複雑になりがちです。
今回は遺産分割方法の一つである「現物分割」とは何か、そのメリットとデメリットについて紹介します。
1. 現物分割とは?
現物分割とは、形を保ったまま遺産を相続する方法です。
父親に「自宅、車・家財、現金」の遺産があり、相続人が子3人だった場合、兄が「自宅」、弟が「車・家財」、妹が「現金」をそれぞれ相続するというイメージです。
土地を分筆(=登記簿上の不動産を分けること)して相続するのも現物分割の一つです。
分筆すると不動産が二つになり、それをそのまま相続するため、現物分割とみなされます。
財産の権利の所在がはっきりしていて、比較的簡単に分かりやすく相続できる方法と言えるでしょう。
2. 現物分割のメリット
現物分割のメリットは、手続きが楽で分かりやすい点です。
相続後には各取り分の権利がはっきりするため、次の相続が起こってしまった場合にもめにくくなります。
手続きは各財産の名義変更や受け渡しで終了するため、簡単に済むケースが多いです。
・遺産がほぼ現金のみ
・不動産、動産、現金など種類が幅広い
賃貸アパートを兄弟で現物分割する一番のメリットは、権利関係がすっきりする点です。
兄弟で共有財産として所有すると、その後の相続が複雑になりがちです。
土地や建物自体の価値以外に、収益をどう分割するかも問題になりやすいでしょう。
現物分割であれば、権利がすべて一人に集約されるため、収益やその後の相続についてシンプルになります。
兄弟間で納得した上での現物分割が、最もシンプルで理想的な方法かと思います。
3. 現物分割のデメリット
現物分割の最大のデメリットは、物によっては不公平になってしまうことです。
兄弟は生まれ順にかかわらず、法定相続分はみな同じです。
現金などは資産価値が分かりやすいため簡単に分割できますが、不動産はそうはいきません。
特に賃貸アパートは収益を生む財産であり、単純な土地や建物の価格だけでは資産価値を測れません。
決まった不動産収入を得られる分、維持に手間がかかるため、相続してもしなくても不公平感を持ちやすい遺産です。
遺産が賃貸アパートのみだった場合、他の兄弟が相続放棄同然の状態でなければ、現物分割はかなり難しいと言えます。
被相続人が「長男にすべての財産を譲る」など遺言を残していたとしても、兄弟には「遺留分」と呼ばれる最低限の遺産取得を主張できるため、やはり現物分割は難しいでしょう。
・賃貸アパートなど遺産が不動産のみ
・ほかの相続人(兄弟など)が遺言の内容に納得していない
→代償分割や共有分割になるケースが多い
まとめ
現物分割は性質上、賃貸アパートのみの相続には不向きと言えます。
ただし、同程度の資産価値を持つ財産があった場合、現物分割で楽に相続することも可能です。
相続後に分割した遺産でもめないよう、各取り分の価値を明確にし、兄弟同士で了解を得た状態で相続を進めることが大切です。
不動産の相続はケースによって対処法が全く異なります。
不安な方は、初回無料で相談を承っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。